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「自己を忘じてなんぼ」の世界
by:
ほ う ざん
2004/06/11(Fri)11:30:40
71.150.192.61.east.flets.alpha-net.ne.jp:61.192.150.71:Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 5.5; MSN 2.5; Windows 98)::::ja:
セックスしてオーガズムの中にあるとき、
人は、快感に酔っているのであって、
快感を感じている自分を好きになっている暇なんぞありません。
強烈な体験、喜び、幸福感といったものは、
常に、その体験自体が全面を占めているのであって、
そこにいちいち、それを感じている自分を意識したり、
その自分を好きでいる余地があるわけがありません。
逆に言うなれば、体験そのものへと深く没我してゆくこと
すなわち、自分を忘ずるほどに、強烈に経験することが
むしろ、喜びを増幅させるものであります。
となれば、自己肯定というのは、ある種の
自己満足、または好きになっている対象が自己にあるので、
その分、今そこで経験されている事の純度は、大きく落ちることになります。
だいたいからして、人が何かに夢中になりたいと
思うその動機そのものが、
「自分をいちいち意識することのわずらわしさ」から
解放されたいと思うことであるわけでして、
セックスやアルコールその他、仕事などもその一つです。
非常に分かり安く言うならば、
あなたが、非常に雄大な夕日の景色を見ていたとして、
1/「その雄大さに、ただたた言葉も思考の失って見入っている」
ならば、生き生きとした経験でありますが、
これが、
2/「今日、こんなすばらしい夕日を見られた自分の人生は好き」
とかやってしまうと、
感動の焦点は、自然そのものに対してではなく、
それを感じている自分に小さくまとまってしまう。
自分が吹っ飛ばされるような、圧倒される感動と、
自分である事の喜びを感じる感動の
そのどちらが好きかといわれましたら、
私個人は、前者です。前者が常に人を変化させるものだから。
分かりきっているいつもの自分を感じるものでは、
物足りないものですから。
あとは、多くの人は、セックスに一体感を求めているわけですが、
そもそも、一体感というものは、
自分を意識したらば成立しません。
相手(または何かの経験対象)と、「自分」がそこにいる喜びを
感じるとしたらば、それは一体感ではなく
「ニ体感」ですから。
一体感の中では、人は自己感覚が失われます。
それ故に、私情で曇る事なき、あざやかな経験をすることが
可能になるわけです。
どこも、難しいことではありません。
ただ、自分を大切にする事に固執する大人になるほどに、
失われてしまう「才能なき才能」であるにすぎません。
これが、イエスが、神(=至福)の国に入りたければ、
「赤子のように在れ」といった言葉の真意です。
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