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■よもや、この歳になって、筋トレをやるハメになるとは
思いませんでしたが、ここでひとつ、自分の左手が利き手の右手と
比べて、どれぐらい劣っているのかを調べてみました。
ただし、調べたのは「投擲をする筋肉群」だけです。

すると、おおよそですが、右手１０に対して左手は７以下でした。

つまり、仮に右手で５間ぐらいで安定した打剣が出来るとしたら、
左手では、今の状態では、
よくても３間から、３間半ぐらいが限界ということですね。
これでは、ちょっとまずいな、と思い、筋肉トレーニングを動員することにしました。


■既に言いましたように、これは、たとえば、ダンベルとかバーベルを
単純に持ち上げる動作における筋力差ではなく、
手裏剣やボールを投げる動作での筋力差です。

●そして、これを計っているときに、
手裏剣を打つために最も重要な腕の筋肉群がわかりました。

むろん、打剣というものは、立った位置で打つ場合には、
足腰、背筋、肩など全身の筋肉を総動員するわけですが、
腕だけを取り出すと、その中でも、とりわけ重要なのは、
「前腕部」にある約８種類の筋肉のうちの、裏側の数種類でした。

なぜそう思ったかといいますと、次のような運動をしてみたのです。

■１キロのダンベルを手にもって、「仰向け」になり、
真上に向かって、円弧を描く動作で手を振ってみました。

普通、筋肉トレーニングで仰向けでバーベルなどを持ち上げるときには、
「まっすぐに腕を突き出します」が、これは手裏剣を打つときの
動作とは違います。

手裏剣を打つ、またはボールを投げるような「円弧の軌道」で、
腕を振ります。すると、どこが筋肉痛になってくるかというと、
特に、前腕部の裏側が強烈に痛くなります。

普通にただ、真上にバーベルを持ち上げるような動作ではなくて、
円弧状に振ることで、打剣のための筋肉は鍛えられます。
真上に持ち上げるのは、押す動作は鍛えられますが、
物を投げる動作のための筋肉群には効果的ではありません。

そして、そうやって、仰向けで、ダンベルを持って、何回ぐらい、
打剣動作の軌道と同じように、腕を振れるかを試したところ、
右手と左手では、１０：７ぐらいの差がありました。


●最初に左手の打剣を始めたときには、
私は、手首の筋力が右よりも足りないと実感しました。
そして、今は、前腕部です。

つまり、物を投げるという動作は、
腕の末端から順に重要な筋肉を駆使しているということです。


単なる腕力でしたら、上腕の筋肉群などが担っているのですが、
「物を投げる動作」で非常に重要なのは、この前腕部でした。


●そこで、ウェイトのリストバンドをつけて、的に向かって
打剣をするという実戦的な稽古と平行して、それとは別に、

仰向けに寝て、ダンベルを持った腕を、上に向けて、
打剣時と同じように、約１２０度ぐらいの円弧の軌道に振ることを
一日に、打剣本数と同じ１００〜２００回織り交ぜることにしました。

本日、左右、２５０回ほどやったら、既に今こうして
キーを叩いていても、重い筋肉痛が軽く出ています。

●ダンベルでなくて、
リストバンドを複数まるめて、手にはめてもよし。
これは５００グラムのを二つ組み合わせて１キロにしています。
↓



●振る軌道はこんな感じです。２秒で一往復ぐらい。

重いウェートを使ったトレーニングとは違い、
軽めのウェートで、速めの運動になります。
その方が中量重量剣の打剣にはいいからです。

リベレイターウェッジや低反撥クッションで、
肩の位置を少し持ち上げているので、
腕の運動のスタート地点は、頭の若干、後方からとなり、
これによって背筋も、ついでに鍛えられます。
↓


●なんなら、１リットルのジュースのペットボトルとかでも。
ペットボトルに水でもいれて、テープで２つつければ、
約２キロ弱になりますから。
どうせ、いつかは燃えないゴミと化す、ダンベルとか、
わざわざ買わなくてもＯＫ。
↓


●同じように、円弧に腕を振る。
↓


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参考のための筋肉図



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●左手の打剣は順調に、威力、命中率ともに着々とアップしていますが、
ここで、ちょっと手裏剣講座は、休憩して、お薦めの本の紹介です。

学研から出ているもので、
刀剣に始まり、火縄銃、弓、槍、手裏剣など、日本のさまざまな武器の
紹介や、異色武器など、使用法の解説とともに
満載の、マニアには嬉しい一冊です。

さすが、学研で、こういう古武器に出てくる読みにくいような漢字も、
全部、読み方（ルビ）とかついていて、安心です。

フルカラーで、２０００円ですから、ぜひ、どうぞ。


よく「実戦では、どうのとか、」不毛な論議する人たちとかいますが、
古武器がどのように使われたかの、「おおまかな参考」にはなります。

また、隠し武器の概略についても、この一冊あれば基本的なことは、
充分でしょう。

あまりにもいい本なので、日本の武器マニアの外人さんにも
私からプレゼントしています。

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■手裏剣がコンクリートに刺さるという話を聞いたことがあったので、
やってみました。結論としては、先さえよく研いで、
（斬れるというよりは）よく「尖らせてあれば」、
かなりの重量剣でも、コンクリートに刺さります。

距離は２間半からで、８割程度の力で投げています。
↓



■使用した標的は、
一晩、水につけておいて「湿らせたコンクリートブロック」です。
コントロールに自信のない人は、ひとまわり大きい、
軽量ブロックを使用してもかまいません。


●使用した剣は、重さによる差を実験するために、
４１ｇ　７０ｇ　７２ｇ　９２ｇ　１０４ｇの５種類を使用しました。

下の右の写真のように、かなり斜めになっても刺さっています。
しかも、これは、なんと一番重い、１０４ｇの剣です。
しっかりと刺されば、このように落ちません。　↓




●空いた穴はこのようなものです。
乾燥したコンクリートブロックだと、もう少し、刺さりにくいと思います。
なお、剣の先端が細いと、
刺さる角度がずれたときには、やはり、剣先は曲がったりして痛みます。
↓



●試しに、先の角度のやや甘い、１５０ｇの剣で試したのですが、
一瞬、垂直に突き立ったあとに、ポトリと落ちましたので、
重量剣は、コンクリートブロックに刺すためには、
かなり、よく尖らせる必要があります。下の左の写真がそうです。
あとで表面を見ると、深い穴がきれいに開いていました。
しかも、タガネを加工した強度のある剣なので、先端は、全く損傷なしです。

また、１５０ｇぐらいの剣になりますと、
レンガの角(隅)に剣先が、当たったり、かすると、
右下の写真のように、コンクリートが、吹っ飛んでいます。↓




■最後に、どれぐらいの重量の剣ならばブロックが「割れるか？」
を試したところ、私の力量では、２００ｇの剣で、やっと割れました。
これもタガネを加工したものなので、垂直に当たってブロックを破壊したあとも、
剣先は、まったく、何ともなっていません。

力のある人で、熟達した人でしたら、１５０ｇの剣でも、割れるかもしれません。
↓





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■ということで、結論を言いますと、
剣の先端さえ、細く尖らせれば、コンクリートブロックに手裏剣は、
「あっけなく、簡単に、刺さります」。

むろん、木ほどには簡単ではありませんが、初心者でも難しくはないです。

　　　　ということで、これは、あまり中身のない、

　　　　　「ただの、見せ芸」ということです。


素人さん相手なら、ともかく、
一度でも実際にやってみた事のある人には驚きでもなんでもありません。

また、「軽量剣であるほど、簡単に刺さったまま」になります。

逆に重い剣ほど、剣そのものの重量で、
いったん刺さった剣が、落ちてしまいますが、
軽量剣は、軽いので、「見た目には」、いかにも刺さった
という「演出」として、ブロック上に留まるわけです。


しかし画像を見てもわかるように、１００ｇと１５０ｇの剣は、
その重さゆえに、水平にブロックに突き立たった姿勢を維持できない、
というだけのことで、
コンクリートブロックそのものには、「深い穴」を、ぶちあけています。

そして、２００ｇの剣は、ブロックを真っ二つに破壊しています。

どの剣が、実戦で、「本当の威力」があるかは、明白なことです。


■そういう「時代の流れ」もあってか、
最近では、それまでの「削闘剣」の概念ではなく、

「必殺剣の必要性という概念と、探求方向」が広まりはじめており、
重量剣へと切り替えたり、切っ先に、改良を加える流派も、
出てきているようです。

その一例の参照です。
↓
http://www.daitouryu.com/japanese/gihoutaikei/tech_shuriken.html

↑
ここの右の方にある「関連コラム」のコンテンツに、
手裏剣術の「その一〜その九」で見ることが出来ます。


■ちなみに私は、実戦主義になれば、重量剣の評価をしていますが、
個人的には、「全種剣」が研究対象です。私にとっては全ての剣が
自分の子供のように感じています。
なぜならば、私は、「打法の研究と剣の研究」が好きだからです。

５０グラム以下の極端な軽量剣と、その逆の２６０グラムなどの
重量のある剣は、おのずと、それを打つための打法が限定されるので、
「面白み」には、若干、欠けるのです。

それが、その中道の「中重量剣」となると、
実に面白い変わった打法が可能となったり、
新しい「打法の発見」が、そこにあるからです。



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■下記の部位の名称は、私が便宜的につけたもので、
正式な名称ではない部分もあります。
そもそも正式に細分化された、部位名称の図なるものを
私は見たことがありませんし。





＞>無明流 日英 手裏剣用語 対訳表 Mumyo-ryu Japanes-English shriken dict

>手裏剣各部の名称 （しゅりけんかくぶのめいしょう） Name of different parts


1 最先端部 （さいせんたんぶ）剣先（剣先） === Tip (Tip of the blade)
2 切っ先 （きっさき）又は 刃部 （はぶ） === Tapering portion
3 横手筋 （よこてすじ）未定 === Not determined yet
4 剣身 （けんしん） === Blade shaft (Metal body)
5 尾部 （びぶ）又は 剣尾 （けんび） === Tail (tail of the blade).
Roughly one third of the blade from the tail end.
6 巻き物 （まきもの）=== Threading (of string, fabric, or leather)
7 剣底 === The tail end
8 剣の太さ （けんのふとさ） === Diameter of the blade measured at shortest angle
9 剣面 （けんめん） === Side of the blade
10 剣底側面 （けんていそくめん） === Side of the blade at the tail end
11 指置き（ゆびおき） === Finger resting area
12 重心 === CG (Center of gravity)



●「剣」または「剣体」と呼ぶときには、巻物や、尾などの付属品もつけた
「剣全体」を意味します。
"(Shuriken) Blade" or "Blade body" mean the whole blade
including threading or other tail attachments.

一方で、「剣身」というときには、本体の金属部分全体を意味します。
"Blade shaft" (Metal body) means the iron part.

●剣の「長さ」や「重さ」や、剣の「重心位置」と言う場合には、
剣体」全体を基準にして割り出しますが、
太さ」の場合だけは、巻き物を含まない「剣身」の太さを意味します。
When I talk about "length", "weight", or "Center of Gravity",
I use the entire blade to get the figure,
while "the diameter" doesn't take threading or covering into consideration
and measure only the metal body.

巻物の複雑な変化のある太さは、それとは別に表記する必要があります。
The diameter of theaad covered part should be noted
separately, as it can be complex.

●剣の「重心」というのは、「剣体」を細い糸で吊るしたときに
釣り合いの取れる位置のことです。
The "Center of Gravity" is measured by hanging the Shuriken blade by fine string.

●また「剣底」と、「剣底側面」の違いも、分けて理解してください。
そうしないと、単に「剣の底」と言うと打法説明で誤解が生じるからです。
Please notice the difference of "The tail end" and
"The side of teh tail end".
Otherwise, you may misunderstand the explanation for some throwing methods.


無冥流では、説明する側の混乱や、読者の誤解を避けるために、
剣底や剣底側面を、ひとくくりにして「尾部」とか「剣尾」とは言いません。
尾部という場合には、剣体全体の「おおよそ、後ろ３分の１」と
考えていいです。
To avoid confusion, I call roughly one third of the rear portion as "tail",
while "the tail end" means literally the very end of shuriken.


もしも剣を「前後」に分けて説明したい場合には、
「重心位置から」前とか、後ろ、と説明すればいいかと思います。
When I want to explain "fore" or "aft", I'd refering from CG location.

■このように部位の名称を細分化しなければならないのは、
無冥流で、いろいろな種類の打法の仕組みを、
詳細に読者の人に解き明かす際には、
どうしても、今までになかった「造語」も必要になるからです。
We have to use these terms to explain and understand
various throwing methods of Mumyo-Ryu with precision.




>■打方の名称 （だほうのめいしょう）The name of throwing methods

１／直進２点打法 === Jikishin-Niten-Dahou
(Straight flying two points throwing method)

２／直進打法 === Jikishin-Dahou (Straight flying method)

３／直進第二打法 === Jikishin-daini-dahou (Straight flying second method)

４／握り打法（＊）=== Nigiri-Dahou (Grasping method) *

５／押さえ打法（＊）=== Osae-Dahou (seizing method) *

６／無滑走二点打法 === Mukassou-Niten-Dahou (No-slipping two points method)

７／滑走打法 === Kassou-Dahou (Slipping method)

８／スナップ打法 === Snapp-Dahou (Snapping method)

９／側面打法 === Sokumen-Dahou (Side face method)

１０／アンダースローの反転打法 === Under-Throw-Hanten-Dahou
　　　　　　　　　　　　　　　　　　(Under throw half rotation method)

１１／八角流の打法 === Hakkaku-Ryu-Dahou (Hakkaku Ryu method)

１２／ナイフを使った直打法 === Jikida-Hou with knives

１３／同時に、２本打ち、や、３本打ち、 === Throwing multiple blades at once　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　(two, three...)

１４／跳ね上げ打法 === Haneage-Dahou (Snap-up method)


このすべてが、微妙に投げ方が違います。
また、特定の打法には、適さない手裏剣の長さや重心位置、
というものがあります。
All of these are subtly different in the way.
There are shurikens of certain length and/or center of gravity
that doesn't go well with some of the methods.


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＞＞メールを戴きましたのでコメントをいたしました。

＞私は、居合抜刀術を中心に武術の稽古をしている者です。
＞１０年ほど抜刀や剣術の稽古をしながらも、以前より手裏剣に興味を持っておりましたが、
＞自流派に手裏剣の技がないため、なかなか稽古する機会もありませんでした。

●そうですね。古武術をされる方は「個人では」、手裏剣などを
購入して、自宅などに所持いる人も多いようですが、

他の武術研究家の方から、聞いた話なのですが、
最近では、武道の稽古場を借りようとすると
「手裏剣の使用禁止」とか書かれているところもあるようですね。

稽古の機会と、「場所が確保しずらい」のは、今のところ、最大の難関の
ひとつですね。


＞そんな折、手裏剣ではありませんが「投げ針」の武器術を併伝する
＞他流派との交流がきっかけとなり、それに刺激を受けた稽古仲間が
＞五寸釘を加工した棒手裏剣もどきを作製したことから、
＞最近二・三人の仲間で五寸釘手裏剣の稽古をし始めました。

●そうなんですよね。私も含めて、ほとんどの独学の皆さんは、
最初は、まさに、そこから始るんですよね。
私もそうでした。最初は５寸釘を前後に繋いだ、
約１０寸の長い双剣から始りました。
その次に、やがて、「製本目打ち」や「タガネ」といった、
「代用工具類」に移りました。

今では、全部、自分の手作りか、または、設計だけは自作しないと、
気がすまない、「手裏剣病　患者」と化しております（笑）


＞「手裏剣の稽古」と言っても五寸釘を加工したものですので、
＞なかなか距離も出ず、何よりも手裏剣の基本的な打ち方も知らない者が
＞集まっての稽古ですので、遅々として上達しません。

＞ただ、試行錯誤をしながら工夫してゆく過程は実に楽しく、
＞しかも仲間は皆ゼロからの出発であり師匠もいないということで、
＞現在仲間内で上達を競い合いながら練習をしています。

●こういうお話を聴くと、本当に、私は気持ちが和みます。
手裏剣術というのは、まず、楽しくなければならないと私は思うからです。
武術論理とか、そういう問題は、上達してから、あとになって
摸索し、探求すればいいことで、
まずは、投げたものが刺さるという「楽しみ」その「快感」から
始るのが、一番いいんですよね。

やがて、剣を打つとき、刺さるときのその感覚に、
人によっては、やみつきになります。
しかし、上達しないと、やめてしまう人が沢山いるようです。

私も、本当にゼロからでした。
伝統から始めた人たちにも、注目すべき古流の技が沢山ありますが、
ゼロから始めた人たちには、これまた「独特のスタイル」があります。

最近では、海外でも手裏剣を愛好する異国の人たちがいまして、
私個人は、その人たちとの交流もありますが、いつも言うんですよ。

「私たちは、日本人も、そうでない人も、
　その全員が、同じスタートラインに立っています。
　どうか、日本の手裏剣術を、技術的にも、そして、
　やれ、流派の伝統だの系図だのも、全く特別視せずに、
　日本の手裏剣術などは、どんどん、追い越して行ってください」と。

国や住宅事情にもよりますが
欧米には、ナイフ投げが危険視されない、という、日本とはまったく違う風土と、
何よりも、土地の広さがありますから、手裏剣の稽古には、日本よりも
格段に、恵まれているわけですね。


＞以前より「直打法」の基本的な打ち方などの知識はあったのですが、
＞私自身の手裏剣の教材はもっぱら、甲野善紀氏のＮＨＫ人間講座の
＞ＤＶＤでした。

私は、テレビで放映されたもの以外は、
「受けずかわさず」（あまりにも、参考にならず、面白くないので、
甲野氏には、失礼ながら、捨ててしまいましたが）
それしか、見ていないのですが、
甲野氏のは、昔からの、氏独特のあの理論（うねらず）を展開していますので、
「多角的な面から手裏剣術を楽しもう、研究してみよう」とするときには、
参考にならない部分が、出てきます。

しかし、かく言う甲野氏とて、さすがに１０間を通すとなると、
うねらないわけには、いかないことは、氏自身も認めておりますので、
あくまでも、それは、近距離での実戦を想定したときの打法、
ということになります。無論、それは技としても有効です。

また、右足前の右手打ちですから、うねらないという論理とは
また「別の問題」として、あの構えには独特の利点が、いくつかあります。
私も利き手でない左手での打剣では、現在は足と手が同じです。

またあの打剣の「構え」は、そちらのように
「居合い術」と併用するときには、絶対に必要不可欠な打法になります。


＞そんな折、貴兄のホームページを通して「中級　手裏剣術」の存在を
＞知り、早速、お店を通して注文させていただきました。

＞実に論理的で明快きわまる内容であり、まさに「目から鱗が落ちる」
＞とはこのことだなと感じ入りました。お陰様で大変参考になりました。
＞これで、仲間たちにも大きな差を付けられそうです（笑）。

そう、おっしゃらずに、お仲間とぜひ、使える知識は「共有」してください。
知識を得るということと、それが実際に出来るようになることは、
まったくの別問題ですから。その事は本にも書きましたが、
競うのは、「実力」だけでいいのです。情報段階で、隠してはいけません。

特定の流派が自分たちが存続したり、他流に差をつけるための、
そういう「営利目的」「売名行為」でもないかぎりは、
技術を秘密にする必要などは、（現代社会では）一切ないのです。
そういうことが、手裏剣術の研究や、交流を遅らせる最大の難病だからです。

だから、私は、他人様から直接に技を教えて戴いたこと以外は、
すべて、公開しています。これを通じて、どんどん、自己流の人たちが
伝統流派などは、遥かに追い抜いて行って欲しいと思っています。


＞誠にありがとうございました。
＞まだまだ、二間の壁を突破できず苦しんでいる稚拙なレベルですが、
＞お陰様で、今後ますます楽しく手裏剣の稽古が出来ると確信しております。
＞では、鈴木方山様の今後のご活躍と、無冥流手裏剣術のますますの
＞ご発展を祈念申し上げます。まずは、取り急ぎお礼まで。


●とにかく、手裏剣術は、楽しくないとなりませんね。
楽しいという言い方は、とても御幣がありますが、
何も、げらげら笑ってとまでいかなくとも、「にやり」とするとか、
「稽古が、全く苦にならない」、そういった事が理想的ですね。


　　私が思うに、手裏剣とは、私にとっては、「書」です。

　　書道の世界は、湧き上がる霊感のようなものを、
　　紙の上に、筆で描きますが、

　　手裏剣術は、
　　「一」という単純な「一文字」を、
　　「剣で、空中に描くもの」なのです。

　　つまり、私は、手裏剣術を、
　　「禅的なアート」の領域にまで、進化させたいと思っているのです。

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◆しかし、やはり、一点、気になりますことは、
５寸釘、またはそれに類似する軽量の剣は、ここ松の間でも
散々に、検証してきましたように、次の点で、欠点があります。

１／第一に、剣の重量が、５０グラムを切ってしまうと、
　　ナイフなみの刃がついていないかぎりは、
　　威嚇にはなり得ても、削闘術にすらならないほど
　　非力であるので、武術的には、意味がなくなってしまう点。

　「至近距離で顔面に刺せばいい」というのは、武術的に考えたら、
　　まったく賭けにも等しい、愚かな考えです。

　また、相手を殺すことが目的でない、というのであれば、
　重量のある剣で、その「力加減を調整」したり、
　「剣の側面や剣の底」を、相手の顔にぶつければいいだけです。

　手裏剣の場合には、「大は小を兼ねます」。
　が、小は大を兼ねる事は出来ません。

　ですからあまりにも軽量な剣は、
　確実な殺傷力が必要となった戦いの局面になった時には、
　無残に負けるしかないのです。

２／重量が、最低でも、８０ｇ以上ある剣の場合には、
　　身体の使い方が、とてもよく自覚的にモニターできるので、上達が、
　　極端に早くなります。
　　また、少し重めですから、距離を３間や４間にするに従い、
　　剣の速度が落ちてくれて、目でその剣の飛び方がよく見えます。
　　軽量剣では、こうした、上達に必要不可欠な、自覚的モニターが、
　　あまり、うまくいきません。

たとえば、私は、利き手でない左手、つまりほとんど、
初心者と同じ左の練習が、２ヶ月すぎましたが、

現在、既に、３間は、確実に刺すことが可能で、２間でしたら、充分な
殺傷力を持ち始めています。
これは過去の右手では、考えられなかったことです。

なにしろ、たったの４間まで距離を伸ばすのに、まる２年という
歳月が、暗中模索の「右手」では、かかりましたから。
さらにそこから、６間を直打法で打つには、
さらに、剣の改良や、打法の改良に、まる１年の歳月がかかりました。

それが、打法の理論と、選ぶ剣が、既に割り出せていたために、
左では、右手の１０倍もの速度で、上達が進んでいるわけです。

むろん、「力量的」には右手には、まだまだ劣っていますが、
ある意味では、「打剣処女」の左手でしたから、
右手よりも、きれいな打剣が出来ている場合も多いのです。

そういうわけですから、ぜひ、使用される剣を
８０グラム以上のものにしてみてください。

コンクリートでは、少し高いですが、私の方で寸法指定をした
２種類の剣があります。どちらも、鍛冶屋さんが打ったものです。

ただ、価格がやはり、原価から比べると、高いものですから、
もしもグラインダーなどを使える環境がありましたら、
最寄の鋼材屋さん、または、通販で、鋼材を切り売りで購入されて、
削ってみるといいかもしれません。
（一から削ると、これまた、けっこう、大変なのですけどね。）

また、仮に金属加工のお店に出しても、
「片側だけを、丸い先端に研磨した、最も単純なもの」ならば、
原価は、一本で１５００円以下ですよ。
複数人で１０本、２０本と、発注されれば、１０００円以下に
なることもあります。

ただ、寸法の、設計段階でミスをすると、
「あー、ここを、もう少しこうした方が、打ちやすかったのに！」
と、私みたいに、何年も、何年も、試作品ばかりを膨大に、
造り続けることになってしまいます。
（今思うと、楽しかったのですが、
　えらい、大変な作業の連続と、費用も、かなり、かかりましたので、、
　皆さんには、そういう遠回りはして欲しくないのです。）

■購入して加工される鋼材は、現在の私見では、
直径の太さが１０ミリ以上のものがいいです。
最初は「１０ミリ」が理想です。

全体の長さや、先端の尖りや切れの鋭さにもよりますが、
角型でも、六角でも、八角でも、
対辺の距離が１０ミリでしたら最低限の殺傷力は確保できます。

最初は、太いな、重いな、と感じるかもしれませんが、
結局は、その方が、上達も早いものですから。


●ですから、そちらの手裏剣の「目指している目的」とか、
射程距離をどれぐらいに制限するか、また、
剣の形とか、長さとかの、お好みさえメールをしていただければ、

「それでしたら、何流のような、こういう重さと形と長さの剣を、
　こういう打法で打つといいですよ」というような、
具体的なアドバイスは、させて戴けると思います。

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最近、無冥流以外の打法を自得しようとしているので、
フォームがちょっと変わってきています。

しかしそれにしても、袴の位置が高すぎます（汗）
裾を縮めればいいものを、裾が長いまま無理に履くせいで、
帯の位置が、あがりすぎる。しかし、どのみち、どう着こなしても、
私は、袴が嫌いです。
正月だからと、ちょっと履いてはみたものの、
自分の打剣のスタイルや、剣の装備の方法には、まったく合わないので、
いつものオリジナルスタイルにします。


●↓は、年の初めてに家の中にある紙垂をすべて、新しい紙に交換。
　　古いものは、火で灰にしました。




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以下は、私の大切な剣友にあてた手紙の一部です。
今年の自分のテーマについてのようなものです。
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今年は独自の打剣フォームの練りに入ろうと思います。
その場合には、いかにして、「やわらかく」がテーマです。
力の追求ではなく、むしろ逆の方向です。
どうやって力を阻害しないかです。

私が、それを最初に、思い知ったのは、
大昔の小学校とか中学校のときでした。

それ以来、大きくなるにつれて、
自分的には「邪道」である力やバネといったものを２４歳ぐらいまでは、
自分なりに養いましたが、
今は、もう一度、その前の原点に戻ろうとしています。

私が小学校と中学のときに経験したものというのは、
人は、完全な力や技を発揮するときには、
まったく抵抗がゼロであるし、身体感覚すらほとんどない
ということでした。

突然にまるで身体がないような軽さと、抵抗ゼロで、
太い木が自分の蹴りで折れてしまい、
自分より背と体の大きい人間を４人立て続けに１０数秒で倒してしまう。

何ひとつも武術をやったことのない人間の中にも
危機的な状況になり、さらに頭が全く無心になると、
何かが身体をのっとるかのように動くことがよくあります。

しかし、それは明らかに、学習外のものです。

ひとつめの経験は、
自分よりも体格の大きな４人をまるで漫画のシーンのように軽々と
倒してしまった経験でしたが、それは、小学生高学年のときでした。

悪がきの家に遊びにいったときに、プロレスごっこになり、
しかも、かなり悪質で暴力的だった中で、私一人がクラスが違う
ということもあり、その、いたぶりゲームのターゲットにされました。

子供の遊びの一番怖いところは、首の絞め方ひとつでも、
「加減というものを知らない」ことと、
集団心理による「悪ノリのエスカレート現象」です。

そんな中で、おそらくはそのままにしていたら、大怪我になるか、
事故で死んでいたであろうような状況になったときに、
突然に私の体が勝手に動き出して、１０数秒ぐらいで、
４人をある者は、放り投げ、ある者は足で首を挟んで１８０度くるりと
回転させ、あるものは突き飛ばし、あるものはねじ伏せ、
それでいて、しかも、
ただの一回も、殴るという動作はありませんでした。

自分の体が動くのを自分ではっきりと感じ取っていましたが、
明らかに、「それ」は本能以上の何かの技を持っていました。

悪ガキどもが、彼らよりも小さく力のない私に、次々に跳ね飛ばされて
行ったことに、彼らが、あぜんと言葉を失ってしゃがみこんでいたことは
むろんですが、それ以上に唖然としたのは、当人の私でした。
あきらかに、何かがそのとき、
私の体を駆け抜けていったのを覚えています。

もうひとつは、ごくごく普通に武術の練習をしていたとき
たまにあることなのですが、まったく予定外のところに
間違いで、突き蹴りが当たってしまうことがあります。

そんなときに、普通にやっていたら蹴って折ることなど出来ない棒が
何の抵抗もなく、折れてふっ飛んでゆくということがあります。
場合によっては、逆に、そういう想定外のものにぶつかることは、
大怪我になる場合もあります。

しかし場合によっては、そこに破壊すべき、木板やレンガを
意識しすぎることの弊害で、力の有効な発揮が阻害され、

逆に、単に、ごく普通に、力まずに、型の練習をしていたときに、
その途中で「間違って」突いたり蹴った物体が、
簡単に破壊されてしまうということがあるものです。

たとえば、これは打剣においては、距離を意識すると
届かなくなる現象に似ていますし、スピードを出すことを意識すると
本当にはスピードが出ない。コントロールも、しかりです。

標的と技を意識しすぎることで、
心身の全体のバランスが崩れることの弊害ですね。

それぐらいならば、目的を忘れて、
ただ無心に打剣の身体感覚と一体になっていた方がいいわけです。


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そんなことから、手裏剣において、
その感覚をもう一度取り戻すのが
今年のテーマになりそうです。

「訓練の末に行き着く力」については、５０００年、一万年と、
人類はそれを、無数の職人とスポーツ選手、
武術や戦争や芸術が、何億人と同じことを続けてきましたし、
それが、いつも到達するところは、「同じ場所の繰り返し」です。
それは私の興味の対象ではありません。

努力することの果てに「達成感と無力感を繰り返すという事」を
感じとりたいという人たちが、今までに、自主的にその努力の道を
大勢、歩いて来たのですから。

しかし、私は生まれてきたときに、少し違う方向に全人生を傾けることを
予定してここへ来ました。

その禅のような作業の中に、どう手裏剣術を取り込むか
というのが、面白いところです。

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また技術面については、私の役目というのは、
技術の体現ではなく、技術の分解です。

「技術の習得」は、それをやるための使命をもって、
人間に生まれきて、生涯をそれに注ぐ人たちがいます。

ですから、本にも書きましたように、
私の位置というのは、「剣の検品師」としての最低限の打剣技術と、
あとは、「剣を選ばす」打剣できることが目標のひとつです。

説明が出来ないことを説明にする、
私の生まれてきて、死ぬまでにやる仕事の大半は、執筆なのです。

体得できる人が必ずしも、うまくそれを伝達できるわけではなく、
また伝達できる人が、必ずしも体得をできるものではなく、
そこでは、実は、その人の中から発揮される「分野」が違います。

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ところで、私が一度でも見てみたいものがあります。
それは、「この上もなく、美しい打剣」です。

機能性がフォルムやフォームに自然に現れるのとは、
また違う次元の打剣です。

うまく説明は出来ないのですが、
技を極めた人を見ると、
「あー、凄いのはわかるけど、
　また、この手のものか・・・」というほどに、
世の中には、そういう技に到達した人はいるのですが
（たとえば、バイオリニストの五島君とか、大リーグのイチロー氏とか）、

しかし、「技がその人の身体を完全にのっとっている人」
というのは、私はほとんど、見たことがないのです。
（この後者の例は「書」を書く人にたまにいたのを覚えています。）

竹の間掲示板で少し前に「味噌汁」の話をしましたが、
力のぬけた技に少し似ていますが、まだあれだと余計なものがあります。

そんな打剣を、今年はビデオに収められたらいいなと
思っています。
あとは、他人の打剣の中に、ふとその片鱗を見ることは
ごくたまにあります。

世の中には、最近流行りの「大道芸の世界チャンピオン級の技」も含めて、
「凄い技」というのは、氷山の一角にいますし、
または「技の山頂の地点」であるとはいえ、歴史的にも沢山あります。

しかし、私は、
「凄い技」ではなく、
「心を打つ技」を見てみたいのです。

たとえば、それは刀匠が打った剣による殺傷力が
すごい技の極みだとすると、
「自然が作った氷の剣」の殺傷力のようなものです。

その役目を終えたら、そこに自分の栄光を
何ひとつも留めようともせずに、
無欲に、溶け去ってしまうようなものです。


そんな打剣を今年こそ、本腰を入れてみようと思っています。

追うと２度と手は届かないが、
追わねば、常に、いつもこの一瞬の中にあるもの。

すごい技というのは、どれだけ正確な
それこそ、５間から、蝋燭の火だけ消しても、
それでも、畢竟「すごいな」の感覚だけで、終わってしまうのです。


●私がここ最近、数名の師範に惹かれるのは、
実はその技の完成度ではないのです。
その技が出来るまでのプロセスです。

ある手裏剣術の場合には、その主体が術者ではなく「剣」である
という点などです。
つまり、人ではなく、剣が「この剣を打ってみろ」と
人間に挑戦してきていて、それに後継者は良い意味で、
とり付かれている、という点です。
剣がその人の運命を動かしているわけです。
運命の流れと鍵を握っているのは剣です。

別の師範の場合には、
１０間の飛距離をさらに２０間にまでしようと研究していたとします。
つまり、ここでの鍵を握るのは、「極限的な距離の壁」です。
これも、人がやっているというよりは、
その「距離」に魅せられて、距離の神様が「届かせてみろ」と
いわんばかり。そしてその師範は、それを体現しようとする。


そして、私は、書き下ろすという作業において、
人と繋がっていっています。
どうだ、説明できるものならしてみろ、と文の神様に言われて、
書いているようなものです。

このように、私が着目したのは、
その人の欲望とか、
その人が人生を生きている間に自分の技を完成し、達成したいということの、
「そうした個人の目的や動機以上」に、
その人たちを、根底から突き動かしているものが、
「人ではない剣の魂」とか「距離の壁」とかである場合です。

手裏剣術を「自分の小さな達成感や自己満足のためだけに利用したり」、
手裏剣を支配したり、または無意味に自己宣伝のために広めようとする人たちではなく、

逆に、手裏剣術というものに、自らが支配されてゆこうと
どこかで運命を決めた人たちです。

だから、私は、自分のための手裏剣、自分の流派の手裏剣しか
見えていない盲目の人たちとは、昨年に、縁をきりました。


その手裏剣術の根底で、その人という一個人などというものよりも大きな
目には見えない背景に、
個人という「人間以上の次元に存在する力」がそこに働いていないと、
私は何かに本当には、興味を持てないからです。

どんな技を見たところで、「凄い技ですね」ということはあっても
「いいものを見せて戴きました」とは、なかなかなれないのですよね。

私にとって、「いいものを見ることが出来ました」というのは、
個としての人の努力や意志が、そこに不在となる瞬間を意味するのですから。



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★ . 　　

■私たちは、手裏剣に限らず、ボールを速く、強く投げようとするとき、
あるいは、バットを強く振ろうとするとき、
とにかく、力をある瞬間に最大になるようにしようとするときがあります。

そんなときには、私たちは、意識して、その力が最大の１００％に
なるポイントに、力を集めようとします。

たとえば、打剣ではこうです。↓



◆ところが、そのように、手離れの瞬間に最大の力を込めようとするほどに、
何度やっても、思うように投げたもののスピードが出ないということを
経験している人は多いはずです。

一般には、それは「力みがあるからだ」というのが定説になっていますが、
実は、それは違います。

●私たちの身体の動きは、自分が意志したこととの間にタイムラグがある、
というのがその原因なのです。
次の図を見てください。
↓


これは、物体が手から離れるその瞬間にすべての力をフルパワーに
しようとしたときに、実は、手離れの瞬間には、実は、まだその力が
１００％には達していないということを表しています。

手離れの瞬間にフルパワーを出そうと頭で思うほどに、
フルパワーは、手離れの少しあとになって１００％に達するので、
実際に手から離れたときには、まだ力は、８〜９割にしかなっていないのです。

この意志と身体の間の誤差を、修正して、本当に
手離れの瞬間に最大の力になるようにするには、実は、
次図のように、手離れの少し前から、力とスピードを落とすように
意識的に操作するのです。
↓


↑このように意図して、手離れの少し手前から力を減速すると、
結果として、本当のフルパワーが出るポイントは、
実際の手離れの位置と一致します。

また、力みが入ると筋肉も固まってしまうのですが、
少し前に力を抜き始めれば、手離れのときに、しなやかで、
やわらかい動きになり、それが剣や物体に無駄のない力を加えるのです。

●これをしないで、ただむやみに、スピードを出そうとすると、
まだフルパワーになる前に、剣やボールを投げてしまうのです。

このために、野球のピッチャーなどが、球速が出ないことに焦って投げると、
いくら投球フォームを正しく修正しても、スピードは出ないのです。

そのときには、実際の手離れの瞬間よりも少し前から、
腕の力を少し抜きぎみにし始めると、
剣やボールの速度が、逆に速くなるという事を、
実際にやってみて経験してみるといいです。

私たちは、意図して最大の力を、ある瞬間に発揮しようと思うと、
実は、意図したそのポイントでは、最大の力になっていないのです。

ここに、さらには、心理的な力みも入ることによる
体の突っ込みも手伝ってしまい、
本当の最大の力は、実際のリリースポイントよりも、少しあとになって
発生してしまうことになるのです。

これは、投球や、打剣にかぎらず、日本刀や、バッティングその他、
なんであれ、ある瞬間に、瞬発的な力を必要とするすべての
競技に言えることです。

だから、肩の力をぬけとか、力むなと言われるのは、
実は、単に力を抜けばいいのではなく、
「力を抜きにかかるポイント」を、
ほんの僅かに、早めにずらして開始すればいいのです。

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　　　　博士君も、この理屈が、わかったようです。

　　　


　　　　　　　　　　　　●

★ . 　　

武田双雲氏は、「一億人の人を感動させる書を描きたい」と述べる。

美というものが、それまでの生き様の「結果として」、
自発的に流れ出るように自然に現れるという意味の美・・・
それが、私が以前に書きました
「私が見てみたい、美しい打剣」のことです。

手裏剣術を武術という視点で見てしまうと、
そこに要求されるのは、威力、命中精度、飛距離、速度などです。

しかし、前にも書きましたように、私が目指してきたのは、
投剣術に触れた、１９９０年代、その最初の第一歩から、
「禅」としての手裏剣術でした。

そして、今、思うことは、いかにして、美しい手裏剣の飛跡を
空中に描くかということ。

私が手裏剣術で表現したいと目指しているものは、
「力」でもなく、「殺人剣」でも「活人剣」ですらもありません。

「美」です。
それは生死の境界線から、つむぎだされるものではなく、
「生死が生まれる以前の世界」からだけしか、つむぎ出せません。


■「感動」というものは、たとえば、完成されつくした技や、
哲学的に思考されたものや、人が生きた形跡、
あるいは、その中から生まれる作品や人生ドラマの中に、
多くの人が感じることが出来るものです。

それによって、何かが動く、揺れる、そういうものを人は
感動と呼びます。

しかし、見ることによって、何かが根底から吹き飛んでしまうもの、
それを、私は「感動」ではなく「崇高さ」と呼びます。

この言葉は、とかく宗教的な概念に「汚染されてきた日本語」なのですが、
崇高さというのは、「次元の違い」を感じることで生まれるものです。

「感動」というのは、
「既に自分の中に眠っている何かが、作品に共感した」その結果、
生ずるものですから、多くの人も自分の中のその反応を理解できます。

しかし、崇高なものに接した瞬間というのは、
確実に、何かが壊れ、そこに以前から当たり前にあったものだけが
残るような感覚があります。
また、日常の意識状態との落差が激しいために
しばらくは、それを理解したり、
自分に起きたこととして感じることも出来ません。


●そうしたもの、つまり、「一時的な感動」や、生き方や考え方に
「影響する」という働きに留まらず、人の立っている意識そのものの
立脚点それ自体の引き上げを起こすものを、私は「崇高さ」と呼びます。

この崇高さを引き起こすようなタイプの「美」というのが、
世の中には、なかなかないのです。
それは、ごく一部の音楽や、芸術作品や、ごく一部の人たちの説法の句の
中にあることがあります。

こうしたものを生み出してきた「意識の在り方」については、
隣の竹の間掲示板でも少し触れました。
↓
http://www.mumyouan.com/k/takenoma.html
【投稿−３４７６】にて

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●ところで、そうした、感動を与える美、それ以上の美を
武田双雲という人が、将来作り出すであろう可能性を、私は感じています。

今の時点では、それは人々を感動させる美を目指しているようですし、
氏の中では、現在躍動しているのはその書道の命名のとおり、
「愉」＝愉しさのようです。
書がもっと、もっと、その自在な無限の表現力を、
「無為自然に」発揮することの楽しみですね。


しかし、いずれ、その「書愉道」を飽きるまで経験しつくして、
そこを通過した晩年には、
氏は、やがては、「崇高さ」を、その書に表現できるものと
私個人は、思っています。

その理由は、非常に単純です。
それは、氏が、「書いているのではなく」
「出てくるものを楽しんでいる」からです。

この、精神に余白をあける姿勢がないと、
いくらストイックに書道を追求しても、
その書は、苦痛と苦悩の産物になってしまいます。
かといって、単に使い古された「安直なワクワク主義」で楽しめばいい
というものではありません。

究極的には、楽しむということすらも忘れ去り、ただ、
筆と紙と墨がそれぞれに自由に即興的に舞い・・・
文字と余白が作る書。

いかにして、与えられたテーマという制限によって、
その枠の中で、書を自由に「遊ばせるか」、
それが、双雲氏の、これからも変わらぬ、最大の魅力です。

●この「即興性の無心」を極めるこそが、おそらくは
双雲氏のしていること、そして将来も続いてゆく原則です。

だから、それは、いずれは、あと１０年、２０年の歳月をかけた、
いろいろな種類の「動きの愉しさ」の果てに、その最後には、
感動以上のものを与える美、あるいは醜となり、
それは、美醜が一如となって、「崇高さ」を人に与えるものにまで
「そぎ落とされてゆくだろう」と思っています。


【武田双雲氏については、こちら】
こちらのページの一番上にある
「今月の一覧クリック」を辿りますと、
双雲氏の書を見ることが出来ます。
私が現在、最も好きな書のひとつです。
↓
http://www.fudemojiya.com/futaba-mori/souun.htm

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●こころみに、手裏剣術と書道の共通点というのは、
書の「とめ、はね、はらい」のような動きが打剣という動作にあることです。

また以前にも書きましたように、
一本の棒の手裏剣が空中を飛び、的に刺さる飛跡は、私個人にとっては、
一種の書であり、それは「一」という文字を空中に描くことであると。

だから、書道家が筆を使い分けるように、
私は、その時々で剣を使い分けます。

そのときに、空中に書のようにして描きたい手裏剣の飛跡によって
剣を変えます。

また打剣の感覚を変えるために、ときには的の材質を変えます。

書道家が文字を書くことと、手裏剣が打剣される様子を対応させると、

　　筆を選ぶ＝剣を選ぶ
　　紙＝標的の種類
　　字＝一連の打剣動作
　　余白＝打剣の開始以前と終了以後の身体の静止状態。
　　書法＝打法

となります。

また、書に、楷書体、行書体、草書体があるように、
打剣にも、古武術の型どおりの、「きっちりとした型」がある一方で、
より実戦的で、構えなどの予備動作なしに、瞬時に投げるような、
なめらかで自然な打法、
そして、変幻自在な打法などの種類があります。
ときおり、少し、お茶目な投げ方をしてみたくなることも私にはあります。



打法の基礎は基礎として、今後も研究したり、稽古をするとしても、
最後には、私は、武術としての打剣を極めたいのではなく、
そのときどきに、自分が即興的に表現したくなったものを、
「手裏剣を的に向かって打剣する」という「動き」で表現したいわけです。

通常の手裏剣術とは、「技」を人に見せることです。
しかし、私は、何か別のものをそこで表現したいのです。

「技」としての手裏剣術というのは、
相手をいかにして倒すかという、そのことの完成度を見せるものですが、
私は、竹の間掲示板に書きました、ある「意識状態」のその結果を、
打剣動作の中に、即興的に表現したいわけです。

その打剣は、微妙に違い、二度と同じものはありません。

その瞬間の、その空間において、もっとも環境と調和している
剣の飛び方です。ある意味では、呪術的でもあり、儀式的でもあり、
もっと正しく言えば、禅的な表現法のひとつであるわけです。

いわゆる「技が決まる」打剣と、
「禅が決まる」、つまりは「無心が決まった」打剣とでは、
そのふたつは、性質が違うものなのです。


　　「技が決まる」というのは、
　　　１００％、自分の思い通りの動作が出来たときのことです。

　　「無心が決まる」というのは、
　　　１００％、自分の思いもよらない動作が起きることです。


■禅的な無心を、手裏剣を打つという、たったそれだけの
単純な事の中で表現したいという気持ちもあるその一方で、

そのときの「気分や天候や状況」といったものを、
アートとして、手裏剣の飛行という作品によって自在に表現してみたい
という気持ちも私の中にはあります。
そのどちらも、これから、少しずつ磨いてゆこうと思っています。


舞踊家が身体から沸きあがる無為の動作に身を任せるように、
書道家が自然に走る無為の筆に身を任せるように、
そんなふうに、私も、
無為の打剣動作に身を任せた「剣」を放ちたいわけです。


それは、あたかも、空中に「一」の文字を描いてゆく軌跡ですから、
私は、それが出来るようになってきた時点で、
「無冥流手裏剣術」を、

「一文字流手裏剣術（いちもんじりゅう）」と改名する予定です。


それまでに、あと何年かかることやらですが。

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■ところで、実は、そうした
「無為の書」にかなり近いものを、
かつて、書籍の中で描いたことがあります。

気がついた方がいるかわかりませんが、性教育書の、
「性のレシピ」という本の中では、沢山の解説図に混じって、
挿絵として、ときおり、私の手による「イラスト」が入っています。

あのイラストは、筆ではなく、「カリグラフィーペン」という
デザイン用品の特殊なペンで描いたものです。

当時、その極端な平筆のような味の出るペンが気に行っていたからです。
梵字用の刷毛（朴筆）にも、似た「独特の線」が描けるのでした。

それを使って、何にも囚われずに、自然に男女の裸体を
極端に「抽象的に描いたイラスト」が「性のレシピ」の本の中には、
ときどき、登場します。

原画は、Ｂ５サイズいっぱいに、のびのびと描いたものですが、
書籍にしたときに、Ａ５版に縮小したために、
やや迫力が落ちていますが、
それでも、流れるままに走り書きをしたあれらのイラストは、
私のお気に入りの作品のひとつです。

書籍案内
↓
http://www.mumyouan.com/i3.html

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　　　　　　　（ちょっと遊び心で、
　　　　　　　　簡単な画像ソフトで、殴り書きしたものです）


　　　　　



　　　　　　　　　　　　　　　　　「無」



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★ . 　　

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■手裏剣の動画というのは、少しでも見れば、
「わかる人には、すぐさまに、その価値が、わかり」、

目の肥えていない、わからない人は、
とんだ的外れな指摘や中傷を、こそこそと匿名でしたりするものです。

たとえば「平服」での稽古風景についての批判をしたりするなどです。
平野なんとかのホームページを見ればそうしたメールがあった事が書いてありますね。
ジーパンで稽古風景を収録していることへの批判です。

私は、あとになって知ったのですが、その批判をしていた者が、
武術の世界では、少しばかり知られている手裏剣術の流派の師範である
ことを知りました。


私はてっきり、それは自分が特定流派の師範であることを、
明確に明かして、堂々と、私見を言った事であるとばかり、ずっと思っていたのです。

それが、つい最近になって、
それが完全な「匿名」での中傷メールであったことを知り、
そのメールを出した師範の、人間性そのものを疑わざるを得ませんでした。

そのメールの内容は、むろんプライベートな問題ですから、私も
知りませんが、まさか匿名だったとは夢にも思ってもいませんでした。

他人様に自分の意見として、ものを言うのは、
言論の自由の範囲ですから、全くいいのですが、
「一流派の看板を背負う者」ともあろう者が、
「匿名メール」では、ただのアラシと変わりありません。
ただただ、あきれるばかりです。本当に、情けないことです。


●しかしそれを受け取った平野傳の師範とかいうやつも、
後に知ったのですが、「ろくでもない人間失格のゾンビ」でした。

同じように、匿名で掲示板に中傷を書き込んだり、
また、脅迫罪にあたることをしたり、
勝手に、いろいろな他流や個人や、スポーツ選手を馬鹿にした
発言をしたりしたからです。

しかも、頭が非常に悪い。
幼少期の体験が祟って、人間性はまるっきり崩壊状態でした。

そして自分の論理が全く素人目にも大間違いであったりすれば、
謝罪も断りもなく削除するといった始末です。



　　　　　どうも、武術の世界は、アホウが多いようですね。



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・・・以下は余談ですが、
　別に何を着て、稽古しようがいいんですよ。
　そもそも、袴や着流しだって、昔はただの平服だったのですから。

　それと、私見を言えば、袴での演武は、未熟な人が下半身の
　動きを誤魔化せるものになります。一方でズボン状のものは、
　両足全体の動きが明確に出ますから、問題がすぐに露見します。

　私も自分の打剣フォームの悪い癖を修正するのに、
　自分のビデオ撮りをしましたが、かならず作務衣のような服にして、
　下半身のチェックが出来るようにしてきました。そういうわけで、
　自分の打剣フォームを録画してチェックする際には、下は袴でなく、
　普通の空手などの道着にした方がいいです。



■なお、
剣は、最低でも８５グラム以上（妥協しても８０ｇ以上です）あることが
好ましいです。流派により「考え方」「理念」は、むろん違いますが、
身体に、局部的にかかる負担を考えると、健康のためには、
８５グラム以上ある剣を、その重量感から感じられる反動によって、
自分の全身の動きをよく「モニター」しながら打剣するのが一番良く、
そうした稽古方法は、晩年になっても、長続きします。

仮にたとえ軽量剣であっても、その打ち方というのは、
晩年になると、どんどんと、やわらかく効率よくなるものです。

とにかく、重量のある剣を打つということをしておくほうが、
もう一度、軽量剣を扱う際にも、多くの学びがあることは、
松の間でも、さんざんに説明をした通りです。

剣の構造によって何が違うのか？、
剣と手の内に、何が起きているのか？、
そして、空中で、剣に何が起きているのか？、
それをよく知ることが出来るような剣を使うこと、
それが、稽古における手裏剣上達の早道です。



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■なお、当掲示板が、しばらく更新されないときは、
ここよりは、やや更新のある、隣の「竹の間掲示板」を
ご覧になり、お時間を潰していてください。


★読みたい記事を選んだり、探すときには、
各ページの「ＣＧ画像の下あたり」にある、
黄色い文字の「Ｔｉｔｌｅ」というボタンを押すと、
ログの「題名だけ」がずらりと出てくるので便利です。


【竹の間】時事ネタと、独り言。
http://www.mumyouan.com/k/takenoma.html

性の問題に興味のある人は、
【梅の間】をどうぞ。↓
http://www.mumyouan.com/k/umenoma.html

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◆懐から剣を取り出す手順です。




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●さて、以下は、書道家に喩えるならば、筆のお披露目ですね。

左は、８８ｇ　　長さ２００ミリ　太さ１０ミリ　断面六角
右は、１００ｇ　長さ２１５ミリ　太さ９ミリ　　断面四角


左は、１００ｇ　長さ２１５ミリ　太さ９ミリ　　断面四角
右は、８３ｇ　　長さ２３０ミリ　太さ８ミリ　　断面六角


左は、１５０ｇ　長さ１６５ミリ　太さ１３ミリ　断面八角
右は、８５ｇ　　長さ２４０ミリ　太さ８ミリ　　先端部断面八角


■２３０ミリを超える剣は、無冥流打法ではなく、八角流の打法の
個人稽古のときに主に使うものです。非常に特殊な打法であるために、
通常の無冥流の剣では、長さが足りないのです。
また、直打法で、５〜６間あたりの飛距離のときに使います。
なお、八角流の半田師範の場合には、
直打法での飛距離は１０間を超えています。


●さて、「筆」で、思い出しましたが、
いつも、お世話になっている東京上野の仏具店に、
ひさびさに、お香を頼みました。

愛用の、銀座の鳩居堂さんの、「夢待」という香で、
白檀系の香の中では、もっとも天然の白檀らしい香りがします。

結構値段の高い、他の白檀系も、いろいろと手を出したことはあるのですが、
結局は、これに落ち着きました。

沈香は眠気を誘うものがあるのですが、白檀系はそういうことが
少ないので、座禅など、嗜む人にもお勧めです。

分類から言うと、味わいは「辛い」香りで、
温感は「涼しい」系の香です。

香りには分類として、「暖かい香りと冷たい香り」、
「甘い香り、辛い香り、酸味のある香り」などがあります。

これは、手裏剣を定期的に、手入れしたあとに、
剣の気配を清めるときにも使っています。




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★ . 　　

　　　　　　　〜ま　え　が　き〜


無冥流手裏剣術で稽古に使われる標的用の用紙です。
　　　　　　　　↓
　　

　　　　　実寸大?の画像

　　　　　↑原寸にならないときには、一辺180ミリになるように
　　　　　　プリントアウト時に設定して下さい。


●１８０mm四方の黒い紙の中に、
　９０mm四方、
　３５mm四方、
という３種類の方形で成り立ちます。

地色を真っ黒にする理由は、背景が、さまざまな色の標的の上に
張ったときに、目立つようにするためです。

また、正方形にした理由は、一般的な円形の的よりも、
正方形の方が稽古中に、横や縦に剣を並べて打つときに、
狙いを付けやすいからです。

古い「寸」とか「尺」の単位は使いません。
輪郭の１８０mmはおおよそ、「顔面大」、
次の９０mmは、おおよそ「手足の太さ」、
中心の３５mmは、おおよそ「眼球の本体」という「おおざっぱ」なものです。


______________________________________________________________

無冥流では、「暫定的」ですが、この的の
>●「１８０mmの輪郭内」に対して、最低距離を「３間から」とします。
>●原則として「直打法」です。
>(「下手打ち」「逆打ち」のみは、反転打も可とします)
>●的を「張る位置」は、自分のやりやすい高さで構いません。


>>●基本段数の基準

構えの立ち位置(前足の位置)が距離です。したがって実質的には、
この距離より半歩、あるいは、ステップが大きい場合には半間ほど
実質距離は縮まりますが、それは、よしとします。


>３間の距離から１０本中５本で初段
>４間の距離から１０本中５本で二段
>５間の距離から１０本中５本で三段
>６間の距離から１０本中５本で四段
>７間の距離から１０本中５本で五段
>８間の距離から１０本中５本で六段
>９間の距離から１０本中５本で七段
>10間の距離から１０本中５本で八段

>●そして、どの段の場合にも、これ以外に、
>２間以上の「お好みの距離」から、
>内側の９０mm標的内にも、５０％的中を必ず行う。

５割というのは、１０本あたりではなく、
１００本中なり、５００本中などでの「アベレージ」の
パーセントでも構いません。本数が多いほど正しい平均値が出ます。
ただし、８本で４本が刺さったから５割、というのは評価対象とはしません。
＞判定対象としての「最低打剣本数は１０本」とするということです。


>>●「おまけ段数」の加算

１★なお「３間」の距離から「９０mm標的内に５０％的中」の場合には、
　　命中率が良いとして、段位を「プラス１段」繰り上げます。

２★一番中心の「３５mm四方標的」は、
　「２間以上の好みの間合いから５割的中」で、
　「プラス２段」のおまけとします。

３★また、利き手でない手で「基本段数」のどれかが出来る場合には、
　　段数にその段数を加算する。たとえば、両手とも４間からの２段
　　のレベルであれば、その人は、４段ということになります。

　　一例として、これに加えて前述の３間からの９０mm標的が、
　　５割的中できるのであれば、さらにプラス１段で、
　　その人は「５段」という事になるわけですね。

４★そして二本同時打ちなどの場合にも、「一段加算」とします。
　　三本同時打ちでしたら、「二段加算」です。(３間以上)

５★下手打ちの場合にも、「一段加算」とします。(３間以上)


◆打ち込みは、標的に既に刺さっている剣が「邪魔に思えたら」、
自分の好きなように、途中で抜いてもかまいません。
実際、刺さっている剣に次の剣が当たって弾かれることも多いですから。
>一本一本打ってもいいですし、好きな本数をまとめてでもいいです。

_____________________________________________________________


・・・というような、非常に適当な目標を立ててみました。
通常は、寸的とか、尺的に１００本中、７割以上といった評価基準で
技量を測ることが、古流では行われているようです。

無冥流では、そのあたりは、もう少し、ぐっと敷居を下げてみました。
あまりにも雲の上にあるような手が届かない高度すぎる目標を、
段数基準にすると、「やる気が失せてしまう」からです。
ですから、練習すれば、何とか手が届きそうな気がする敷居に下げました。

◆にわか作りの「標的案」なので「今のところは」という事です。
この段位の面白いところは、
>飛距離と、精密命中率、左右両方の打剣、多本打ち、下手打ちなど、
>これらから自分の「得意なもの」を組み合わせることでも、
>段位が「ひねり出せる」という「遊び心」の余地も作ってみたのです。


★ただし、これは現時点では、「暫定的」なものなので、
コントロールにおいて下手糞な、この私自身がやってみて、
「こりゃ、難しくてやる気が失せるな」と思ったら、多少変更をすると思います。

>ただし、１８０mm標的の最低ラインを３間からとする事は変わりません。
これは「中級手裏剣術」の著書の中でも述べましたように、
「３間〜３間半」という距離は、どのような打法、どのような剣を使っても、
剣が刺さる可能性のある距離だからです。
最大で３間半(６．３ｍ)までは「打法と剣を選ばない距離である」という事です。

また２間半以下(４．５ｍ)という距離は、全くの未経験者が、まぐれでも、
刺さってしまう可能性のある距離であるので、段位の対象とはしません。


●なお、無冥流では、稽古用の剣は、１００g前後のものを使いますが、
>昇段試験に際しては、「剣の寸法や重さ」に、一切の規定はありません。

実戦的な破壊力の有無ではなく、あくまでも命中率と飛距離だけを
評価基準とすることにしました。
その方が、より多くの他流の人たちも、自己評価の参考に出来るからです。

また標的が、どのような種類の「木」を、
「どのような方向に」切り出したものか、とか、
畳であるのか、床用マットであるのか、ダンボールなのか、
などによって、剣が弾かれるものと、刺すことが簡単なものがあります。

そのあたりは、「今のところは」ですが、
「日本国内」で、誰でも入手と設置が簡単で、使い捨てられる点で、
>一般的な「新品のダンボール」を標的としていいと思います。
(ダンボールの多少の堅さの違いは、細かいことは言わないことにします。)


■なお、この標的サンプルは、皆さんがプリントアウト使用するために、
前述のように、ダウンロードできるようになっています。

Ａ４サイズの用紙で印刷できます。
一辺が１８ｃｍにならない場合には、拡大をしてください。

また、ごくごく簡単な図面ですから、
方眼紙に手書きで原画を自作をされてコピーをされても構いません。



>で・・・とりあえず、私も、やってみました。

ノーコンの私だから、初段すらも駄目かなーと思っていたのですが、
なんとか初段はクリアーできていたので、ひと安心でした。
使用しているのは８８ｇの断面六角の剣。直打法です。


３間からの１８０mm四方は６割。
↓


２間からの９mm四方は５割。
↓



その他、左手打ちや、多本打ちを組み合わせると、
やっとこさ２段になれたり、なれなかったりと、まだまだ不安定でした。


しかし、これでは、あっと言う間に、用紙がボロボロになりますね。
木の的か、ダンボールか、マットに、テープでマスキングして、
スプレーでも吹き付けて使用しようかと考えています。
↓


結局は、このように、標的の用紙を「スプレーのり」で、
ダンボールにぴったりと張ったものが、少し長持ちするようです。
↓



この的は畳２枚重ねの上に、
厚さ約１５ミリマットが６枚重ねになっています。
威力のある剣ですと、軽くマット４枚は貫通するものですから。

_______________________________________________________________



さて、私は、もともとが武術畑の人間ではありませんので、
現在は、八角流の半田師範と、武備舎の岩井師範、
それに遊心流の長野師範以外とは、
とりたてて、人脈というものがありませんし、
地方に移住しているものですから、
列島の東西の遠方まで出かけての実地調査というのも、困難です。

そこで考えたのは、「自己申告で構わない」ので、インターネットで、
アンケートを取ってみようと思いました。

この次の投稿で、そのアンケートを記載しましたので、
ぜひ、ご協力ください。


_______________________________________________________________

★ . 　　

■手裏剣アンケートの方は、現在、私も含めて６名、あとは
八角流の半田師範からの、返事のお手紙を待つ状態ですので、
後日、まとめて掲載します。

●なお、手裏剣アンケートは、なるべく多くの記録が欲しいので、
ずっと継続して募集していますので、締め切りというのはありません。

●左右の手が使えることには、多くのメリットがあります。
羅列すれば、次のような点です。


１〓利き手でない手を練習することで、利き手の打剣も
　　うまくなる。
　（これはバッターが逆で振るとバランスがよくなるのと同じ原理です）

２〓利き手だけで打っていると、骨盤や背骨が歪みやすい。
　　これは、以前に、遊心流の長野氏にも指摘されていて、
　　ずっと気になっていました。従って、
　　逆の手で打つと、その左右のアンバランスが補正されて、
　　歳を取っても身体への偏った負担が少なくて済みます。

３〓技の幅が広がる。
　　実戦においては、居合い刀やその他の武器との併用をするにしても、
　　両手が使えることは、圧倒的に有利となり、また
　　利き手にダメージを受けて怪我をしたときにも、戦闘が継続可能となる。

４〓本来、古流の手裏剣術には、
　　両手打ちという「必修項目」があるはずであるのに多くの流派は
　　それを、いろいろな屁理屈をつけて避けて通ってしまう。

５〓利き手で培った打剣理論や練習法が正しかったかどうかを、
　　「打剣処女」である、自分の左手で検証することが出来る。

６〓利き手でない手は、全く癖がついていないだけに、
　　下手をすると利き手よりもコントロールは良かったりする。

７〓利き手でない手の練習が続かない最大の理由は、
　　単なる「性急な挫折」である。

　　逆手の打剣などは、不要であるとか、
　　利き手よりも「非力である」とか、「稽古時間がない」とか、
　　いろいろな「苦しまぎれ」の「口実」をつけては、
　　「あきらめてしまった」という事に過ぎないのです。

　　中には、某手裏剣術の流派の掲示板では、呆れたことに、
　　「野球のスイッチピッチャーは勝てない」などと、
　　あまりにも「的ハズレ」な話を引き合いに出している師範も、
　　いるようです。打剣とボール投げは、同じ次元で語るような問題では
　　ないのですよ。

　　片手にグローブを持ち、もう片手でボールを投げていればよい
　　野球とは違い、そもそも、
　　相手を殺すためには、もう片方の手で何の武器を扱うかという事が、
　　手裏剣術単体として独立する以前の「戦闘法の原型」だったのですから。
　　そしてまた、中量剣以上の剣であるからこそ、重量にも助けられ、
　　逆手での打剣も、実用的な威力に達するのである。

　　■私の、つたない経験によっても、どんな時間のない人でも、
　　正しい順序で練習をすれば、３ヶ月もあれば、
　　左手は、自分の意志の言うことを聞くようになります。
　　あとは、筋力を補うだけで、「打剣術という行為」においては、
　　充分な威力を持つ補助砲となり、
　　年数をかけて鍛え上げれば利き手と同じ「主砲」にもなる事だろう。

８〓身体の健康によく、
　　利き手の打剣にも利して、
　　実戦的でもある。

　　また打剣というかなり複雑な動作の学習を「逆手」にさせると、
　　日常の他の動作でも、利き手でない手を、いろいろと
　　使ってみる事が出来るようになり、楽しくなります。

　　ただし、「その逆は意味がありません」。
　　つまり、左で箸が使えるようにする訓練とか、
　　左手で日常の動作をするということと、
　　左手の打剣は、「何の関係もありません」。

　　たまに、そういう「すごく馬鹿なこと」を考える人も、
　　希にいるようですが、　　
　　私は、高校生のときから、左手でも箸が使えますが、打剣には
　　何のメリットもありませんでしたから。
　　つまり「投擲用の神経と、その他の動作神経は違う」ものなのです。

　　それは、女性がボールを投げようとしたら、
　　仮に長年連れ添った利き手であっても困難になるという、
　　現実を見れば明らかなことであるのに、
　　そういう事すらも分からない、本当に馬鹿な人がたまにいます。

　　ちなみに私は左手で剣が何とかかんとか、打てるようになったとき、
　　ふと気づいたら、いとも簡単に、左手でボールを、
　　しかも、かなりいいコントロールで投げられるようになっていました。


これだけ「良いことづくし」である、両手打ちを練習しないのは、
「愚の極み」としか言いようがないのですよ。

これから多くの手裏剣術の流派は、ラルフ氏や海外のナイフスローワー
などに刺激されて、両手打ちを真似るようになり、
道場の稽古の場でも、自流に取り入れてゆく事になるでしょう。


■私も、自分の中で、まだまだ山積みされていた課題の中でも、
とりわけ両手打ちは、その他の沢山の保留項目と同様に、
「必ずやらねばならない」と、ずっと何年も思っていたものでした。

ただ、打法と剣の形状の研究の方に、あまりにも長い時間をかけていたので、
ずっと保留にされていました。


◆両手打ちについて、いろいろと言う人たちというのは、
ほとんどの場合に、「自分が出来た上で」言うのではありません。

それは「出来ないこと、努力しない事の言い訳」にすぎないのです。

両手打ちが、最低限の戦力となるぐらいに出来る人であるなら、
その「さまざまな効能」を、実体験として肌で知っていますから、
断じて、両手打ちを、不要であるとか、意味がないなどと、
「軽視」したりなどしません。


■ジーパンにすら貫通を阻まれる、軽量剣で、しかも、先端が甘い、
それでいて「当流儀の剣は威力があり、実戦的なのだ」と流布する。

しかも、そうした両手打ちの稽古を、何十万打と積んできた他流の師範に対して、
「役にも立たない（あんたの）そんな逆手打ちなどは、
（だまし打ちの捨て剣として）捨てるべきだ」とまで、
武術家には、あるまじき「無礼で、かつ論理的思慮もない暴言の唾」を、
しかも、「匿名メール」で吐きすてる。

そういう流派に限って、逆手打ちの価値がわからないものなのです。
なぜならば、刺さりの悪い逆手の剣の結果しか見ていませんから。

３間内で、逆手で投げられた１５０ｇの剣を、もしも顔に食らったら、
仮に剣先が刺さらなくても「大怪我」しますって。


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●さて、ここで少し余談です。
トリノの「スノーボードクロス」で、スペインだったかの選手で
Ｊ・フォントという人がいましたが、
私は、その人の滑り方には、思わず目が釘付けになりました。

体は決して低すぎる体勢でもなく、ジャンプの時にも決して
無駄に高く飛ばない。動きのすべてに無駄がなく、
まるで、ひょいとスノーボードに、ただ立っているような姿勢で
滑っているのです。
それは、他の低い姿勢で、派手な動きをしている選手たちとは、
かなり違う姿でした。
残念ながら、フォント選手は、優勝は逃しましたが、
いいものを見せて戴きました。

●それを見たときに、これこそ、手裏剣の打剣でも学ばねばならない事である
と思いました。

無駄が全くないこと。無駄のない力が発揮されているときには、
人体というものは、動きが少なくなるということの見本でした。

いずれ、私の打剣風景を、動画でアップする事もあるかと思いますが、
私の打剣は、本当に、まだまだ無駄な動作が多いものですから、
こうした選手の動きは大変に学ぶことが多いです。

あのスノーボードクロスの競技における、フォント選手の、
「体重の移動のスムースさ」、「バランスの良さ」、「動きの少なさ」
そして何よりも、「自分の身体の重さを、いかにして利用するか」、
そこに、「重量のある手裏剣」の打剣方法との共通点が、
多々あるのでした。

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●もうひとつ余談を。

実際の戦国時代の戦いにおいて、手裏剣がどのような役割を果たしていたか
を考えるとき、平野流投剣術のような必殺的な重量剣、
または、他の強力な威力を持つ投げ物によって、
その場で、相手を戦闘不能にする方法というのがあります。

その一方で、別の意味で怖いのが「毒物」の使用です。
軽量剣や車剣であっても、刃をしっかりとつけ、
そこに「毒物」を塗ったものを身体に食らいますと、
その兵士は、戦闘不能になります。

人間というものは、戦闘中に、傷を負って多少の流血をしても、
斬られた直後には、痛みをまだあまり感じないということは、
皆さんも、小さな切り傷をしてしまったときに覚えていると思います。

問題は、その日の夜です。
刃物が身体に当たるときには、当たり所によっては、
化膿が進行します。化膿によって、高熱が出ることで、
その兵士は、傷を受けた段階ではまだ戦闘可能であっても、
翌日には、兵力としては使い物にならなくなります。

従って、忍びが使っていたような、車剣でも、
当たり所によってはそのような事態に陥るわけですから、
とうぜん、当時の彼らは、重量剣でないかぎりは、
ほとんどの場合に、手裏剣には毒物を塗っていたものと推測できます。

この毒物が僅かな切り傷から入っただけで、
人は、３日３晩、あるいはそれ以上、戦闘不能になります。
（消毒薬での手当てや、解毒薬なり、化膿どめで処置をしないと）


どういった毒物が使われるかについては、
「狩猟用の毒」という用語で検索すれば、ウィキぺディアなどに
記載があります。


●私も昔、刃物を研いでいるときや、
その他、不注意な刃物の扱いによって、
手などに怪我をしたこともあります。

「傷の場所」や「傷の形や深さ」によっては、たったの数日で、
なんなく、ほとんど痛みもなく治るものもあるのですが、その一方で、
ほんの小さな、「浅い傷」であるのに、
ペンや箸すらもてなくなり、３日間、微熱に悩まされることもありました。

そうした場合というのは、
その刃物の刃先に「雑菌」がついていたような場合なのです。
傷そのものではなく、化膿によって、身体に害を受けるわけですね。

伝承によれば、忍びたちは、植物性、鉱物性の毒物以外にも、
毒物が手元になく、調達できない場合には、手裏剣や弓矢に、
生ゴミなどの腐敗物や、糞尿などの、有害な「雑菌」を塗りつけて、
何日もかけて、相手の傷を、じわじわと化膿させるという戦闘法を
使ったと伝えられています。

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