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悪魔の辞典の続き




>【笑い】

顔貌（かおかたち）をゆがめ、不明瞭な音声を伴うけいれん。
これは感染しやすく、間欠的なものだが、直すことが出来ない。
笑いの発作が発生しやすいということは、人間をその他の動物と
区別する特徴のひとつである。（省略）


>【論理学】

人間の誤性と限界と無能力とに完全に従っている思考と推理の技術。
論理学の基礎となるものは、三段論法で、大前提、小前提、結論の
三段の手続きから成る。たとえば、

大前提＝ある一つの仕事を、１人でやるよりも６０人でやれば６０倍も早く出来る。

小前提＝一人では、柱を立てる穴を掘るのに６０秒かかる。故に、、、

結　論＝６０人でなら、この同じ作業を１秒間で出来る。 (省略)


>【忍耐】

復讐の計画を練り上げる一方で、侮辱におとなしく耐える傾向。


>【長生き】

死の恐怖を異常に伸ばすこと。


>【多弁】

こちらが話したい時に、これに罹（かか）る相手の者が、
自分の舌が制御できなくなってしまう病気


>【恋愛】

患者を結婚させるか、あるいはこの病気を招いた環境から引き移すことによって、
治すことができる、一時的精神異常。（省略）


>【育ちの悪い】

育てられる代わりに「家畜のように取り上げた」


>【狂気の】

高度に知的独立という病気に冒された。順応主義者が自分自身を研究することによって、
導き出した思想、言語、行動の基準に一致しない。大多数の者と反目する。つまり、異常な。

ある人々を気違いだと宣告するのが、自分自身が正気である証拠が何一つない
人たちであるということは、注目に価する。


>【悪人】

人類の進歩に最も重要な要素。


>【わたしの】

つかんでいられるならば、私のものになっている。


>【劣った】

それほど気にさわらぬ。


>【不運】

決して取り逃がすことのない種類の運。


>【お金】

手放すとき以外、何の役にも立たぬ恩恵物。（省略）


>【隣人】

わが身と同じように愛するよう命じられているのだが、
その命に逆らわせようと、われわれに対して万策を尽くす人間。


>【騒音】

耳の中に匂ってくる悪臭。人間に馴染みのない音楽。文明の主産物。かつ文明の確証。


>【前兆】

何も起こらないとすれば、何かが起こるだろう、というしるし。


>【反対する】

邪魔したり異議を唱えたりして助ける。


>【楽天主義者】

黒を白という主義の信奉者。
ある悲観主義者が神に救いを求めた。

「そうか、お前はこのわしに、希望や快活さを取り戻してほしいと言うのだな」
「そうではないです」と、嘆願者。
「そのようなものを正当化する何かを、あなたに創っていただきたいのです」


>【気晴らし】

失意を増進させるための工夫。知的無能者用のやさしい運動。
または、一般的な疲労を癒す、特殊な失意。


>【忍耐】

絶望を装った絶望の小っさゃなもの。


>【平和】

国際関係で、戦争と戦争との間の騙しあいの期間。


>【敬虔】

人間と類似している、という仮定に基づいた上での、至高の神に対する尊敬の気持ち。


>【憐れみ】

相手と対照する事によって強くかきたれられはするが、やがて腰砕けとなる
相手を許してやる気持ち。


>【計画する】

偶然の結果を達成するための最善の方法について心を悩ます。


>【快楽】

失意という形態の中で嫌悪すべきものがもっとも少ないもの。


>【礼儀正しさ】

もっともわれわれの意にかなう偽善。


>【祈る】

取るに足らないことが明々白々な、たった一人の嘆願者のために、
宇宙の全法則を破棄してくれるように頼む。


>【処方】

患者に対してできるだけ差し障りなくし、その時の状態を最大に伸ばすには
何をしたらよいのか、という事について医者が行う当てずっぽう（推量）。


>【口実を使う人間】

幼虫期にある嘘つき。


>【懐疑説】

懐疑説を除いてすべてを絶対に信じないという説から成っていた。
懐疑説を研究する近代の教授たちは懐疑説そのものまで信じなくなってきている。


>【写実主義】

ヒキガエルの目に映るがままに自然を描写する技術。
モグラが描く風景とか、尺取虫が書く話とかに、いっぱい入っている魅力。


>【本当に】

見かけは・・・・らしい。


>【再考する】

もうしてしまった決心の正当性を探る。


>【宗教】

「希望」と「恐怖」の間に生まれた娘で、
「無知に向って」「不可知」の性質を説明する。


>【住んでいる】

引っ越せない。


>【責任】

神、宿命、運命、運勢、または近所の人の肩へと、たやすく移ってしまう離れがたい負担。


>【尊敬】

人間が神に対しての、犬が人間に対しての精神的態度。


>【暴動】

無邪気な野次馬どもが、軍隊のためにしてやる人気ある催し。


>【聖人】

死んだ罪人が、改訂され、編集されたもの。


>【自明の】

他の誰もにではなくて、自分にとってだけ明らかな。


>【利己的な】

他人の利己に対する配慮が欠けている。


>【話す】

目的のない衝動から、誘惑もないのに無分別なことをしてしまう。


>【電話】

嫌な人間を近づけないでおくといった便利さを若干すてさせる悪魔の発明品。


>【天気】

何の興味もないくせに、それがひどく関係を有した樹木の上で暮らした祖先から、
それについておしゃべりをする習慣を受け継いだ人間どもの永遠の話のネタ。


>【崇敬】

この神の創造物が健全に創られ、しかも見事に仕上がっていると、
神を作った人間が認めること。これは屈従の一般的形態であり、
その底には、傲慢がのぞいているのである。



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