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★雑記/NO.642 『博士君の生い立ち』
by:
鈴木崩残
2016/10/29(Sat)09:34:08
博士君が我が家に来た経緯
●ブリジットが事故で他界したのは、昨年の10/24だった。
ブリジットについて知ることになったのは、それから数日後で、
その「おとぎ」話は、昨年の10月か11月に、この桜の間にも書きました。
「期限は10年」という約束をして、猫として生まれたことなど。
さて、12年前に、博士君が我が家に来たその理由、経緯については、
詳しいことは今まで分からなかった。
しかし、ブリジットの時がそうであったように、博士君についても、
生きているときには分からなかったことが、
旅立ってから分かるようになることがあった。
●博士が息を引き取った直後、砂手が口で人工呼吸をしたり、
私が心臓マッサージをしていたこともあり、
その時には、博士君がどういう意識状態だったかを見る余裕はなかった。
しかし、博士が他界してから、約1ヶ月になろうとしている今、
あの時、博士はどうしていたのか、という事に関心を向けたところ、
いくつか分かったことがあった。
博士は、肉体を離れた直後に、苦しさも嘘のようになくなったので、
その様子、その状態を、私達に知らせたかったのだった。
「ボク、もう苦しくないよ。見て見て、もうボクは大丈夫だよ」
彼の亡骸に触れて、悲しんでいた私達に向かって、彼はそう言っていた。
●そのあと、博士君とは「別の猫」が現れた。・・・・雌猫だと思う。
その猫が博士に向かって、こう言った。
「良い人たちにめぐり合えて、良い一生でしたね。
本当によかったですね。」
そして、続けてこう言った。
「そろそろ、行きましょう」
すると博士は、こう言ったのだった。
「嫌だよ。ボクはこの人たちと一緒にいたい!」
ふだんは、おっとりさんの彼が、はっきりした口調で、そう言った。
その彼の心の中を見たときに、私は涙で顔がぐちゃぐちゃになった。
今、これを書いているときも涙が止まらない。
●すると、その猫がこう言った。
「あとで、またここへ来られますから、一度、出かけましょうね」
博士は、その猫の目を見て、戸惑いながらも「うん」とうなづいた。
●博士は、私達に、体を離れて楽になって、元気になった姿を、
とにかく見せたくてしょうがなかったらしい。
生きているときも、いつもそうだった。
私達に何か見せたいことがあると、
いつも、まんまるな目をして、「見てよ、見てよ」と、アピールした。
●話は、変わり・・・・
博士君が、我が家の玄関にまっすぐに入ってきた、
あの不思議な夜に、何があったのか、
どうして彼がうちへやってきたのか、
それについては、彼が生きているときには、断片的な「推測」しかなかった。
たぶん、飼い主の方が、突然に亡くなったのだろうという感覚はあったのだが、
それ以上のことは、わからなかった。
しかし、今回、彼が肉体を離れた後になって、
ブリジットとの時と同じように、
生きているときには知る必要のなかった、
博士君の過去について、知ることが許された。
●博士君は、この近所で、おばあちゃんに育てられていた。
その家に、猫は、博士君ひとりだけだった。
当時、なぜ、飼い主を探すチラシを近所に配ったのに、
その人が現れなかったかというと、
そのおばあちゃんが急死してしまい、かつ、おばあちゃんの飼い猫について、
心配する人が、そのおばあちゃんの身内に誰もいなかったのである。
そして、また私が、たまたま迷い猫の飼い主を探すチラシを配らなかった、
唯一の方向に、そのおばあちゃんの家はあった。
●そのおばあちゃんは、お風呂場で倒れた。
救急隊員の人が玄関をあけたときに、博士君は、初めて外へ出た。
うちでの博士君には、ひとつの理由の分からない行動があった。
それは砂手がお風呂に入っていると、必ずといっていいほど、
大きな声で鳴き、風呂場へ行きたがるのだった。
風呂場に行くと、確認して戻るだけなのだが、必ず鳴くのだった。
私が風呂に入っていても、彼は鳴かなかったが、
砂手が入っていると、私があやしても、大声で鳴き、
風呂場へ行きたがったのだった。
あの彼の行動の理由が、ようやく分かった。
彼の大事なおばあちゃんが、風呂場で倒れたので、
その記憶が彼にはずっとあったのだった。
だから、風呂場に人がいると、特に女性がいると、彼は心配になるのだった。
●外へ出た博士君は、不安で一杯だった。
大事な、おばあちゃんが倒れてしまった。
家猫だった自分は、外へ出たはいいけど、どうしたらいいか分からない。
しばらく近所をさまよっていた博士君は、中学生ぐらいの男の子に拾われた。
その男の子と、ほんのしばらくいたが、そのときに、
博士君の頭の中に、こう伝えるものが響いた。
「あの家に行きなさい。あの人たちのところへ行きなさい」と。
●それは、私達が住む家の「大家さんの家」だった。
私と砂手がその家にお邪魔をしているところを、その声の主が見たらしく、
博士を、私達に引き合わせようとしたのだった。
しかしその時には、タイミングが会わず、
私達は、大家さんの家から自分たちの家に帰ったので博士には会えなかった。
博士君は、私達が帰ったあとで、その大家さんの家に入り込んだが、
大家さんは、猫が好きではなかったので、
大家さんは、ほうきで博士を玄関から追い出してしまった。
このことは、当時、大家さんが、
実際にそういうことがあったことを私達に話してくれた。
(「なぜか部屋に猫がいたので、びっくりして箒で追い出しました」と)
●その後、そんなこともあって、博士君は、少し怖くなり、
あまり遠くへはいかなかったが、
そうこうするうちに、喉が渇いて、地面に溜まっていた水を飲んだ。
その水に、近くの土に撒かれた除草剤が混ざっていたのだった。
博士が、体の具合が悪くなりはじめたころには、すっかり日が暮れていた。
すると、博士に頭の中に、こう命じる響きが広がった。
「あそこへ行きなさい。
あの家ですよ。
家の人が出てきたら、
まっすぐに、迷わず、家に入りなさい」
その時、玄関から約2メートルのところで、私と博士の目があった。
猫は人を警戒するから、まさか寄ってはこないだろうと思いつつも、
数粒だけ、猫のカリカリを、
彼を脅かさないように、そっと、静かに地面に撒いてみた。
すると、彼は、ご飯には見向きもせずに、まっすぐに玄関に入ってきて、
まるで「自分の家にでも上がるように、当たり前に家にあがった」のだった。
その時も、彼の意識には、声なき声が、聞こえていた。
「私は、あなたとは一緒にいかないけど、
ふり向かないで、ちゃんとまっすぐに行くのよ。
さあ、行きなさい。」
●私は、冗談半分に、博士君は、どこからか天から降ってきて、
この地域の猫神様に案内でもされて、うちに来たのだろう、
と、ぐらいしか思っていなかった。
でも、この声の主が、誰だったのか、ようやく私は知ることが出来た。
それは、
彼の、
母親だった。
彼の実の母親。
博士君の母親は、
彼が6歳ぐらいのその時点で、もう既に他界していたから、
わりと短い寿命だったことになる。
飼い主のおばあちゃんが倒れてしまった後の、
彼のことをすごく心配した博士君の母親が、
彼を、私達の家に、導いたのだった。
彼を私達に引き合わせたのは、彼の亡き母だった。
そのことを、今回、はっきりと知ったとき、
泣けて泣けて、しょうがない。
そんなことがあったなんて、全く知らなかった。
何かに彼が導かれてやってきたらしい事には確証はあったが、
それが彼の亡き母親だったなんて、
なんという泣ける物語なのかと・・・・
●そして、博士君の母親が、彼の「左後方」で、彼に連れ添って、
彼を導いている様子が見えた。
彼の前を歩いて案内するのではなく、博士君の後ろから案内していた。
これは、母猫が彼の前に出てしまうと、彼が母猫しか見なくなるので、
自主的に彼が歩いてゆくようにと、
後ろから彼に声をかけていたように見えた。
●その彼の母親猫は、色が博士君よりも少し薄い。
博士君のお腹の部分の毛の色が、その母猫の全体の色だった。
博士君の顔は、耳と目が、母猫にそっくりで、
鼻と口元や、体つきは、お父さん猫に似ていたこともはじめて知った。
その母猫は、本当に、優しさに溢れていた。
他界してもわが子の博士の身を心配していた。
博士には他に兄弟姉妹がいた。
博士以外に、弟が一人と、妹が二人のようだった。
●そして、あの最後の日、
博士君が肉体を離れたあの時に、
あのときに来た雌猫、
それがその母猫だった。
彼を最初に、
12年前に、私達のところに導いたのも、その母猫で、
最後に、彼を迎えに来たのも、その母猫だった。
私はその博士君の母猫に言った。
「猫の親子も、人間みたいに、強い結びつきなのですね」と。
すると母猫は、少し苦笑するかのような雰囲気でこう言った。
「人間よりも、ずっと強い繋がりですよ・・・特に母子は」と。
私たちは、博士君と暮らせて、本当に幸せだった気持ちと、お礼を伝えた。
●そして、その母猫は、私にこう言ってくれた。
「また、私達と会いましょうね」
「私達と」、と母猫は言ってくれた。
そう、今度会うときには、
博士君と、その母猫と、私と砂手の、4人で会いましょう、と、
そう約束してくれたのだった。
この場合の「私達」というのは「猫族」という意味というよりも、
博士とこの母猫の個体の意味あいが強かった。
なんという、幸せな約束なのだろう。
ずっと過去に、どんな縁が、
この博士君親子と、私または私達との間にあったのかはわからない。
でも、またいつか、本当に会える、
しかも、博士君とだけではなく、
博士君を見守っていた、この素敵な母猫とも会える。
そう思うと、胸がつまった。
思えば、博士は、
いつもずっと何かに守られていると私も砂手も感じていた。
ほかの猫を見ると、どこか心配になったり、時には頼りなく思ったりするのだが、
博士は、いつも悠然と、そして、お坊ちゃんのような顔をして、
ただの一回も、威嚇のために何かに向かって、唸ったり、怒ったことがない。
そういうことは、ただの一度もなかった。
彼は、ずっと、あるいは定期的に、
あの母猫に見守られている感覚を、いつも持っていたに違いない。
●そして、もう一つ知ることになったのは、ご存知のように、
猫は、家猫、半野良、外猫といろいろなタイプがいるし、
あまりベタベタする事を好まず、人と距離をとるのが好きな猫もいる。
博士はどうだったのか?
そう思ったら、私の意識が、生きていたときの博士の中に移動した。
彼は、いつでも、私達二人の様子を気にしていた。
彼は、人間が好きだったのだ。
前の、おばあちゃんのことも大好きだった。
ずっと家猫だった彼にとっては、
人間と一緒にいることが、自然で当たり前のことだった。
人間がご飯だけ持ってきて置いて行ってくれるので、
人間とはあまり親しくならずに、猫の自分は、気ままに暮らす、
というのではなく、人間と彼は、一体のものだった。
彼にとっての一生とは「人間と一緒の暮らし」のことだった。
(多くの家猫や半野良が、そうなのだが)
だから、そっけないふりをしたり、「ボク、別に関心ないからね」、
といったトボけた顔をしながらも、彼は、いつも、ずっと、
私達のことを感じ、私たちのしていることを、眺めるのが好きだった。
●そんなふうに、博士君が体を離れてから、約一ヶ月もしてから、
彼について、いくつか知ることが出来た。
ブリジットのときもそうだったけど、
こうしたことを知るのが、常に他界した後になるのは、
なぜなのかは分からない。
たぶん、生きてそこにいるときには、
あえてそれを知る必要がないのだろう。
それにしても、
私たちに会う前の彼の過去、その時の事情、見守っていた彼の母猫の気持ち、
そして、博士君と私達の出会い。
その博士君が旅立つときにも、
再び、その母猫がやってきていたこと・・・・
ここを読んでいる皆さんにとっては、こんな物語は、
全くの他人事で、何のリアリティーもない、おとぎ話だと思います。
自分とは関係ない、あかの他人の心の中で開いた、幻想の絵本。
でも、あまりにも素敵な、
ファンタジーのような、彼との出会いの舞台裏を知って、
こういう感情、こういう、当たり前の偏愛と、人の持つ執着と、
悲しさと、幸せと、ありがたさと、子供に対する母猫の優しさが沁みる。
そこに、たとえ、高度な次元や意識や、普遍性などがなく、
それが、つかの間の、無常なものであっても、
私は、つくづく、揺さぶられるものがある。
ベタな猫の親子の絆と、ベタな人間と猫の出会いの話、
飼い主と、猫とのありふれた関係、
どこにでもある話で、ただそれだけのものにすぎないのだけど、
私は、この手の物語の中を、実際に、自分自身が生きてみると、
この手の感情には、弱いな。
そして、そんな弱っちい、涙もろい自分が、好きです。
博士君と、その母猫さん、
素敵な夢を、ありがとう。
この夢には、これからも、続きがあるのですね。
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